デスカムトゥルーが面白かったはなし

2020年6月25日発売、デスカムトゥルーというゲームが面白かったという話です。
ネタバレは極力排除しています。

どういうゲーム?

「これは、映画なのか? ゲームなのか?」
deathcometrue.com
実写映像によって作られた、「まるで映画のような」というキャッチフレーズがプッシュされているADVゲームです。
「ADVゲームに触れたことのない人も楽しめるように」というコンセプトのもと、映画の料金と大差ない1960円という価格でiOSAndroid、Switch等で配信中。私はSwitch版を購入しました。

あらすじ

舞台は、とあるホテル。主人公、カラキマコト(本郷奏多)は連続殺人事件の犯人として指名手配されている。 しかし男には一切の記憶がない。そんな状況の中、男には死ぬと『タイムリープ』して過去に戻る不思議な能力がある。犯人として、追われながら、男は誰を信じて、誰を疑う?そして、自分自身の本当の正体とは?選択と死を繰り返しながら、男は真実を目指す。(引用元)

感想

ボリューム

25-26日にかけた深夜帯に4時間ぐらいかけて全シナリオ読了(?)しました。一般的なADVゲームと比べると文量は少なめになり(そもそも文量という概念ではないが)、選択肢による分岐もフラグ管理のような複雑な要素はないので、ADVゲーム初心者の方でも楽にプレイできるのでは? 逆に映画と考えると長尺ですね。

システム

実写ADVゲームというと、「街 ~運命の交差点~」「428 ~封鎖された渋谷で~」の2作品(どちらもチュンソフト製)のような実写背景にテキストが表示されるゲームを想像するかもしれませんが、今作はそうではなく、実写映像を見ながら、要所要所で選択肢が出現するという構成でした。確かに画面いっぱいにテキストが表示されるゲームよりは参入障壁は低そう。これに伴い、ADVゲームおなじみの機能、早送りに関しては映像の早送りになってました。
また、ADVゲームでは至極一般的なシステムであるところのセーブ&ロードという概念がありません。オートセーブです。なので選択肢でセーブして進めてみて、間違ったと思ったら選択肢をロードして選択肢をやり直すということができません。というより、する必要がありません。間違えた選択肢でもすべて話は完結し、タイムリープによって再度選択肢を選ぶ画面に戻ってこれます。

シナリオ

あまり多くは語れませんが、さすが小高和剛さんだなという印象です。
プレイヤーが作品内に介入している、実際に多くの影響を与えているというのがはっきりと体感できる、いいシナリオだったと思います。特に作中の主人公と、プレイヤーの置かれている状況のマッチ感や温度差のなさはこの作品への没入感をひどく高める効果があったように思います。

ゲームなのか?映画なのか?

私は間違いなく『ゲーム』であったと感じました。
自らの意思と選択によって読み進めていったことによる結末であるという、この『体験』はゲームであったからこそだと思います。本来物語の外に片付くられるはずのUIといった要素まで含めて、一つのゲーム体験として楽しませてくれるのは本当にお見事だと思いました。世間一般で言われる他のADVゲームと比べてもより『ゲームらしい』作品だったとさえ言えると思います。

Tookyo Gamesについて

私がこの作品を買うきっかけというか、大きな理由を占めていたのがこの『Tookyo Games』という会社の存在だったので、これについてもこの記事に書きたいと思います。
公式HP
ダンガンロンパのシナリオを手掛けている小高和剛さん、極限脱出シリーズやNever7などのシナリオを手掛けた打越鋼太郎さんを含む、クリエイター7名が独立して立ち上げたのが、Tookyo Gamesという会社です。私はダンガンロンパが大好きで、全作品プレイさせてもらってます。そしてそこから、以前所属されていたスパイク・チュンソフトのゲームに興味を持ち、打越鋼太郎さんの極限脱出シリーズに興味を持ち、こちらも3作品楽しませてもらいました。AI:ソムニウムファイルもプレイして、今はPSP版のEver17をプレイしています。
このお二人の作品に共通するのが、『プレイヤーをゲームに引き込ませる演出、システム』というのがあげられると思うんです。ADVゲームって、どうしても読み物というか、選択肢を選んでいるのは自分だとしても、あくまで自分の存在しない世界での話を傍から眺めているという印象を抱くゲームが多いと思うんです。でも、このお二人の作品が自分がこのゲームをプレイしていることが確実に作中世界に影響しているということが感じられ、「ゲームをしている」ということをしっかり体験できるんですよ。極限脱出の999、ロンパV3の演出が私は特に好きです。
そんなTookyo Gamesが手掛ける4つの大きなプロジェクト、その一つが今作デスカムトゥルーでした。残り3つのうち一つ、アニメ作品のアクダマドライブが10月から放送、そしてもう一つゲーム作品のデスマーチクラブが2020年発売予定となってます。是非チェックして見てください。多分私は見るしプレイします。