劇場版 少女 ☆ 歌劇レヴュースタァライト 再生産総集編 ロンド・ロンド・ロンドが面白かったはなし

劇場版 少女 ☆ 歌劇レヴュースタァライト 再生産総集編 ロンド・ロンド・ロンドを見てきた感想です。
例のウィルスのせいで一度の公開延期を経て、ようやく 8/7 公開と相成りました。やったね!
公開初日に休みとって鑑賞してきたのでその感想を書くというのが主旨です。

鑑賞前の覚書

この項目は鑑賞前日に記述している内容です。これから鑑賞するにあたって、本映画に期待することなんかを書いておき、感想を書く足がかりにしようかなという気持ちです。

新規カットの有無

今回は総集編ということなので、基本はアニメーション映像を使い回す内容になるとは思います。その中でどれだけの新規カットが使われているかどうかというのは楽しみなところの一つですね。後の構成の部分の話にもつながりますが、ばななのカットはある程度増えるんじゃないかなと期待してます。

物語の構成

全 12 話のアニメーションを 120 分にまとめるので、どんなにがんばっても切り捨てなくちゃいけないエピソードは出てくるのかなと。特にふたかおとまひるちゃんあたりの話はほとんどスポット当たらないんじゃないかなっていうのは思ってます。しょうがない面はあるんですけどね、こういうキャラクターがほぼ横並びのコンテンツの映画化ってそういう難しさはありますよね。真矢クロはカットしてほしくないなぁ。
あとは PV の段階でかなりばなな押しだったので、ばなな視点でわかりやすくなるような構成の変更はありそうですよね。逆に頭からばなな視点で描かれるとそれはもう別の作品として楽しめそうですよね。

アニメを見ていない人がどれだけ楽しめるか

劇場版総集編ということなので、これを機にスタァライトにふれるという人が増えてほしいし、今後スタァライトをおすすめするにあたって、とりあえずこれを見て!と言える作品であればいいなと思います。アニメは少なくとも 7 話ぐらいまで見ないと話の大筋がわかってこないというか、「これはなんのアニメなんだ?」っていう感情がわりとあったので。この 2 時間の映画を見ただけでスタァライトって面白いんだなって思える作品であればいいなと。

アニメを見た人が見ても楽しめるか

これは構成と新規カット次第なのかなっていうところですが、やっぱり楽しみにしてたので、アニメを見た人間でも楽しめる作品になってると嬉しいなと。

劇場版を見たあとにアニメを見たいと思えるか

劇場版で語られなかった内容にどれだけ興味が湧くないようであるか、多分これについてはふたかおやまひるちゃんなど、スポットが当たらなかった(であろうと想定している)キャラクターがどれだけ魅力的に描かれているかどうかだと思ってます。まひるちゃんはよいぞ。

主題歌の使われ方

今作の主題歌、再生讃美曲がわたし大好きなんですよ。アニメスタァライトの総括って感じがしてて。なので映画でも印象的な使わ方されてると嬉しいですね。

鑑賞後の感想

ここからは鑑賞後の感想です。一応ネタバレありとネタバレなしで項目を分けて書こうと思います。

ネタバレなし

全体の感想

非常に満足度高い映画でした。時勢が時勢なので難しい面はありますが、もう一度は劇場に足を運びたいと思える映画でした。
アニメでも評価の高かったレビューシーンはスクリーンで見るとより迫力のあるものに仕上がっておりました。映画館で見る以上、映画館でみる価値がある映像になっているっていうのは大きな意味を持つと思うんです。そういう意味でちゃんとスクリーンで見る価値のある映像だったっていうのは大変うれしいですね。
あとは再生産のバンク、あれスクリーンで見ると大迫力でしたね!!! めちゃめちゃテンションあがりました! 画面が一色に染まる演出はやっぱり画面がでかいと映えますね!
一点残念だったことを言えば、映画館で見るという都合上、無音が意味持つシーンも隣の観客のポップコーン咀嚼音に邪魔されるっていうところですかね。
あ、スタァライトのキャラクターが好きな人はパンフマストバイです。

新規カットの有無

結構ありましたね。合わせると10分程度って話だったんでしたっけ? 総集編に付け合せとして新規カットを乗せるというよりはつなぎとなるような新規カットの用意のされ方でしたね。

物語の構成

かなり満足度高いです! カットしてほしくない部分はほぼほぼカットされてませんでしたし、逆に劇場版では不要だと感じていたシーンはしっかりカットされてました。それでいてアニメ版をただなぞるだけの構成ではなく、主題となる内容にあわせた組み立てられ方になっていたので、改めて見る価値のあるものだったかと思います。

アニメを見ていない人がどれだけ楽しめるか

上記項目でも触れましたが、主題となる内容に合わせた内容に合わせて物語を取捨選択されているので、細かな心理描写なんかはだいぶ端折られてたり、順番を変えてたりがあるのでアニメの本筋の話は理解しやすい劇場作品になっていたと思います。
ただ、そもそもスタァライトってアニメ1回見てすべてを理解できるような内容ではないので、初見の方が見た時どれだけ納得感があるのかというのは疑問は残りますね。

アニメを見た人が楽しめるか

これは間違いなく楽しめると自身を持って言えます! アニメをベースに新しい要素がいっぱい散りばめられているので最後まで新鮮な気持ちで鑑賞できました。
あとは新しい要素というわけではないんですけど、アニメ12話に、スクリーンで見ることに意味のある一幕があったじゃないですか。あそこがスクリーンで見れたっていうのが純粋に嬉しいですね。

劇場版を見たあとにアニメを見たいと思えるか

これはどうなんでしょうね、深く語られなかったキャラクターについての掘り下げは間違いなくありますし、日常描写なんかも豊富にあるので劇場版のより深く補完できるという意味では是非ともアニメも見て!っていうのがアニメ視聴済み勢からの立場なんですけど。本筋に重きをおいた影響で周りの要素はだいぶ置き去りにされた感はあります。

主題歌の使われ方

一般的な映画同様、エンドロールにて使われてました。ちょっとその前後のインパクトのせいで印象うすくはあるんですが、やっぱりいい曲ですね。壮大さと美しさがあって、2時間のエンターテインメント作品の〆としてふさわしい楽曲だと思います。

ネタバレ感想

以下、ネタバレ感想になります。

いやぁ、素晴らしかった。2時間しっかり楽しんだ上で、すぐにもう一度みてもいいなと思える作品になってました。

開幕した瞬間のアタシ再生産には震えましたね。まさかこういう形になるとは。あとは開幕で「世界が灰になるまで」の転調部分から入るのも熱かったです。もう開幕からテンション上がっちゃいました。

シーンの取捨選択はかなりうまくいっていたと思います。「華恋とひかりの運命の舞台」と「大場ななの再演」という2つの話を軸に据えて、それが追いやすいような話の流れになってました。ひかりとの思い出、天堂真矢との戦いの敗北というのを見せた上で、このオーディションに真剣に向かっていく背景を視聴者にわかりやすく伝えた状態を作ることで、他のレヴューを音楽にのせてテンポよく消化させていくと。これには主人公がこういう意思を持って臨んでいる、では他のメンバーは?という視点の切り替えのわかりやすさという点も担っているのではないかと思いました。一点、じゅんじゅんに勝つという描写が次の主題となる『驕り』というものにもつながっているのでは?と考えるとここが前後すると若干意味あい変わりそうな感じはしました。一つの劇場作品として見れば些末な問題ですが。
あとはななの視点を予め明示しておく(ななが特別な視点を持っている)ということで、アニメ作中で必要になった「大場ななの不穏さ」という要素が各所に散りばめられていることが解決されているのはうまいやり方だなと思います。劇場アニメは次週への引きとか必要のないコンテンツですからね。もちろん細かくいろんな場面で99回に執着するななという描写を積み重ねていったアニメ版もそれはそれで素晴らしいと思います。
日常描写は思いっきり省かれましたね。これはしょうがないと思います。2時間でまとめる必要があるので、変に混ぜてしまうとテンポも悪くなってしまうでしょうし。ただそれにより各キャラクターへの興味っていうのは湧きにくくなってしまうのかなっていうのはありましたが、それでもちゃんと各キャラの魅せ場は残っていたというのがすごい点だと思います。
そして劇場版スタッフの本意気を感じたのが、全レヴューを再構成した上で採用したという点。舞台装置の名称が明らかになるというサプライズもあり。鳥バード2018ってマジ?とか、99とか。レヴュー曲に合わせながらそこに至る背景をまとめつつ展開させるのはちょっとスーサイド・スクワッドを彷彿とさせました。そして各キャラの再生産バンクが用意されていたのもよかったですね。ななの音がバグってる再生産バンクすき。
あとは絶対に言及しなくちゃいけないのは各レヴュー曲が新バージョンとなって収録されていたことですよね。あれはビックリしました。Star Knowsはギターが主張してくるアレンジ、恋の魔球はチップチューンライク、ふたりの花道はローテンポになってより艶やかな曲となってました。日常描写がカットされてスポットが当たりにくくなってしまった各キャラにもこういう形で新たな魅せ場が用意されてるのはかなりよかったと思います。音源発売してくれないかな。そして星々の絆ではラストのパートの歌唱が華恋からななに変わっている!めちゃめちゃビックリしました。再演を繰り返してきた大場ななが「いつまでも守るよ」って歌う意味を考えると胸が熱くなりますよね。あとはレヴューデュエットは曲ごと入れ替わっているという衝撃。4人版Star Diamondは完全新録ですよね? しかも最後のリップシンクもあってたんであそこ多分書き下ろしですよね? これが再生産総集編なんだなぁ
シーンの取捨選択の話に戻ると、「舞台少女なら大丈夫」と「天堂真矢は負けてない」の場面が削られてなかったのは大変すばらしいと声高にして主張したいです。苦悩してきたななが救われるための場面だったのでここは絶対削ってほしくなかったので。天堂真矢のシーンは単純に好き。あとは12話の新章スタァライトの映像比がスクリーンと同じになっていた演出がすごい好きで、それを実際にスクリーンで観れたのがマジで胸アツでした。逆に、キリンがこちらに語りかけてくるシーンは削って正解だったと思ってます。あれは12話(放送待ちの期間を含めるともっと)という長い期間、制作側と視聴側で熱量を共にした上で成り立っている演出だと思うので、たかだか2時間のぽっと出の関係ではあの演出はささらないと思うんです。

そして、次につながると新カット。一番大きなワードは『舞台少女の死』ですかね? 映ったのは星の影で血まみれになっている恐らく華恋の姿、そして星摘みの塔へ続く階段に並ぶ血まみれの舞台少女たち。そしてななの口から発せられた『ワイドスクリーン・バロック』という言葉。これ知らなかったので調べたんですが、Wikipediaによると『時間と空間を手玉に取り、気の狂ったスズメバチのようにブンブン飛びまわる。機知に富み、深遠であると同時に軽薄』な作品であるとしているそうで。この時間と空間を手玉に取りっていう部分でいえばアニメ本編について言及したとも取れるんですけど、あえてこれを新劇場への布石だと捉えるのならば、オーディションできらめきを失ったifの世界線での舞台少女たちを描く作品だったりするんですかね? 電車の描写がかなり印象的だったので、聖翔からも離れているとか? なんにせよ期待がやまないですね! 2021年が楽しみです。

あとは細かいところでいえば、キネマシトラスのロゴが冒頭では華恋の髪飾りを付けてたのにエンドロールではひかりの髪飾りつけてたのちょっとよきでした。