【ポケモン】全ポケモンプレイヤーはFrontierを見ろっていうはなし

冠環境になって準伝説が解禁されて、対戦環境が大きく変わって初めてのシーズンが終了しました。新ポケモンの使用感や、環境上位に並ぶポケモンなんかもある程度判明してきたころだと思います。
そんな時分、ポケモン対戦をしている人が今絶対に観るべき配信企画が進行されております。
それが Frontier です!
私が視聴してみて、大変おもしろく、参考になる構築・プレイングを実況解説付きで観れましたので、是非オススメしたく、筆を執りました。本記事を書いているのが12/4ですが、明日の12/5にも対戦の配信が行われますので是非視聴してみてほしいです。

概要

公式コンセプト「ハイレベルかつ新しい」の名の通り、『チームによるリーグ戦』『パーティ2種見せあい』という、今までにない新しい形式での対戦がYouTubeにて、隔週土曜日に配信されています。多分第1、第3土曜日になるのかな? 対戦配信がない日も、各試合の個別アーカイブが上がったりしてますのでチャンネル登録してちょこちょこ確認してます。
www.youtube.com
ルールの詳細は下記公式ページから確認ください。
frontier-pk.hatenablog.com
ポケモン対戦をやったことがある人はそのプレイングの高度さを間違いなく楽しめると思います。逆にやったことないけど興味がある、ぐらいの人が見たらどうなんだろう、よくわからないけどすごそうだぐらいの温度感で伝わればいいなと思います。

Frontierの魅力

パーティ2種見せあいによる深み

Frontierでは事前に登録したパーティ2種を見せあい、どちらを選択するかというところから勝負が始まります。もちろん上位のプレイヤーが構築したパーティですので構築段階での優劣はつきにくいんでしょうが、それでもパーティ同士の相性というのはあります。それに対してどちらのパーティをぶつけるかというのをそれぞれのチーム内で作戦会議をして選出、という流れになるのですが、相手の型をどう読んだのか? なにを以てそのパーティを選択したのか? など、見てるこちらも思いを馳せることができて非常に楽しいです。

プレイヤーが全員""ガチ""

今回参加されているプレイヤーは、どなたも実力者ぞろいで、シーズン最終1桁の方が何人もいるというえげつないメンバーです。すごいですよね、よくこれだけのメンバーが揃ったなあと。
なにがすごいって、『全員が』ガチであるってことなんですよね。例えば、実況者大会のようなイベントだと、タイプ統一のプレイヤーがいたり、相棒がいるプレイヤーがいたりする場合があるじゃないですか。もちろんそういうプレイスタイルも尊重されるべきではありますし、エンターテインメントとして正しい場面もあるでしょう。ただ、そうするとガチガチに固めたプレイヤーと戦った場合には温度差が発生してしまいますし、勝ち負けについても「まあ構築の時点で…」みたいなコメントがつきがちじゃないですか。「この構築にしては善戦したよ」とかね。こういう温度差が発生しないので、勝者に対しても敗者に対しても、純粋なリスペクトが送られると思うんです。

BO5であること

Frontierは2つのパーティを使ってどちらかが3勝するまで勝負することになります。これがどのような影響を及ぼすかというと、やっているうちに型バレが起こるんですよね。そして型バレが起こると、同じパーティ選出同士の試合が2度あった場合も、型バレ前提の選出、型バレ前提の行動選択というものが発生するようになり、試合展開も大きく変わります。その読み合いの変化も見ていて楽しいところです。一本先取の形式では見られない面白さがあります。

どこまでも勝ちをリスペクトしていること

これは賛否あるかもしれないですけど、こういう形の対戦動画ではほとんど見たことがない、TODにまで言及しているのも特徴のひとつではないかと思います。有利対面で安定行動を繰り返しているだけではTOD負けするかもしれない、不利な選択肢を読み通していかなくてはいけないという状況を作り出すことによって勝ち筋を残すという深いプレイングなども発生しており、可能性がある限り絶対に勝ちを捨てないその姿勢は見ていて気持ちがいいです。潔さを美徳と捉える人にとっては不評かもしれませんが。

『意表をつく』ということの価値

かつてポケモン対戦考察まとめWikiの代名詞といわれた[要出典]『意表をつけていいと思う』という言葉。個人的にはこの系統の育成論に関してあまり価値を見い出せていない面が大きいです。その意表をつくということで勝てる対面をどれだけ犠牲にしているのか? 相手は果たして自分の思ったとおりに行動してくれるのか? そういうことを考えた上で、収支プラスにならない気がしているのでそういう型のポケモンはランクマッチ用に育てたりすることは非常に少ないです。
しかし、『1勝』の重みが違うこのFrontierでは話が変わってくるのかもしれません。ここで戦う相手は全員がトップレベルのプレイヤーであり、環境に多く存在する型、強く意識してなくてはいけない型は間違いなく抑えていてくれるというある種の信頼がありますし、一度の負けを取り返すための試行回数が稼げないこの環境においては、意表をつく型というものにも大きな価値が生まれているように思えました。驚きがあるので観ていて面白いという副産物までついています。ネタバレになるので多くは語りませんが、ブリザポスの活躍が印象深いですね。

競技性の高さ

上記で説明した要素が大きく影響して、Frontierという対戦の競技性が高まっているというのも観ていて面白い要素の一つであると思います。ポケモンっていうゲームは運が絡んでくる要素も多いですし、使うポケモンの相性というところからじゃんけん要素の強いゲームという見方ができるのも事実です。しかし、そこをパーティ2種見せあい、5分間の作戦会議(選出時間の短さによる思考放棄が起こりにくい)、BO5という形式にすることで、読み合いやプレイングスキルによる運によらないゲームメイクというものがより鮮明に現れるようになっていると感じました。

解説のありがたさ

各試合について、対戦しているチームに所属していない参加プレイヤーの一人が解説役として参加されています。もちろん参加されているプレイヤーということは非常に高い腕前を持つということですので、今の盤面の状況や裏の選出状況予想など、深く理解されている上でわかりやすい説明をしてくださっています。これは非常にありがたいですね。自分では理解していない先の択まで見通して、技選択の心理を解説してくださるので非常に参考になります。
また、配信とは別に、感想戦の動画のアップも予選第5試合から始まりました。選出理由や、技の選択理由、なにが出されるときつかった? などの話も踏み込んでされていたので、非常に面白かったです。対戦動画を見終わったあとは感想戦の動画も視聴することを強くおすすめします。

今後の期待

感想戦については今は気になった箇所をピックアップして言及しているような形なので、できるなら対戦動画を頭から流しながら、対戦者同士でここはどうだった、みたいな形にした動画が出てきてくれると嬉しいですね。チーム紹介動画で11月のベストバウトを紹介する場面もありましたが、そのベストバウトを流しながら解説していただけるような動画も見たいです。
あとはパーティ選択時の作戦会議の内容がめちゃめちゃ気になります。どういう形で相手のパーティを読んでいるのか、そのパーティをぶつける理由はなんなのか、あとは運用方法のレクチャーをしてたりもするのかな? とても見てみたいです。
そして、願わくば放送の頻度が上がってくれると嬉しいなと。プロ野球みたいに年間120試合ぐらいやっててほしい。そしたら仕事中ずっと流しときます。

個人的ベストバウト

最後に個人的に一番よかった、面白かったと思う試合を紹介して終わろうと思います。
予選第5試合の内容についてのネタバレを含みますので、ネタバレを避けたい方はここでこのページを閉じていただき、ぜひYouTubeアーカイブをご覧になってください


















私の個人的ベストバウトは、 予選第5試合 3戦目 カントーダイマックス Haruさん VS シンオウレジェンズ すのーほるんさんの試合です。

パーティ選択は第1戦目と同じ対面での対戦となりました。1戦目ではシンオウレジェンズ側が勝利を収めております。その際の選出はカントーダイマックス側がレヒレジバコランド、シンオウレジェンズ側がレヒレサンダーウインディという並びでした。今回の第3戦目はカントーダイマックス側がジバコランドウオノラゴンという選出に変更、シンオウレジェンズは選出変更なしです。

この試合の見どころはカントーダイマックス側のジバコイルが瀕死になり、ランドVSサンダーの対面からの展開です。
まずこのランドロス-サンダー対面ですが、この対面は基本的にダイマックスを切った側が有利です。なので対面維持して打ち合おうとした場合はダイマックスを切らなくてはなりません。ですが、このランドロスとつげきチョッキを持っているのでサンダーとの打ち合いに対して有利な型になっています。そしてランドロスとつげきチョッキをもっているであろうことは第1戦目で判明しています。この型がわかっている状態で対面するっていうのがまずFrontierだからこそ起こる状況ですよね。ここでサンダー側は相手のランドロスがチョッキを持っているのでダイマックスを切っても打ち合い不利だと判断、ダイマックスを切らずに引きます。そしてランドロス側は居座ってストーンエッジを選択しています。ここ、相手がこちらのチョッキが見えているからダイマ切らないだろうという読みで交換しないしダイマも切らないっていう択を通せるのがさすがだなと。そしてこのエッジを通せたことで、うしろのウオノラゴンをちゃんと着地させられたことがこの勝負の明暗を分けたと思います。
ただ、見どころはここで終わりません。ちゃんとウオノラゴン対面でウインディしんそくで削ってウオノラゴン-サンダーに持ち込みます。そしてここからの展開がまた深いんですよ。スカーフウオノラゴン対面で、サンダーはダイマからダイウォールを選択します。ここ一瞬なんで?って思ったんですよ私。そもそもスカーフウオノラゴン対面はダイマックスを切らないとエラがみを耐えないので、ダイマまではわかりますが。ですが、さすがトッププレイヤーの皆さんですね。ダイウォールみた瞬間に解説の方が「はねやすめの択にしましたね」って説明してくださいました。初手ダイマックス切るのは確定で、ダイジェットから入るとダイマックス2ターン残した状態でランドロスと対面するとダイウォールで1ターン消費してもダイジェット耐えられてダイロック投げられて試合終了になってしまいます。そこでダイウォール→ダイジェット→ダイウォールでダイマターンを消費しきることではねやすめの択まで持ち込んでいます。これを瞬時に理解して解説できるというのすごいですよね。そしてはねやすめの択を通しにいくという判断ができるすのーほるんさんも素晴らしいなと。
そしてこのダイウォールによるはねやすめの択の発生を認識しているのはHaruさんも同じでしたと。サンダーの初手ダイウォールからはねやすめの択を、そしてダイマックス3ターン目をダイウォールで消費したいと考えるところまで読んでいました。なので、ダイウォールをするであろうダイマ最終ターンにダイマを切らずに技を打つことでダイマターンを温存するという択を取ることが出来ているんですよね。私がこの試合をベストバウトだという理由はここで、Frontierという独自環境によって発生した択の読み合いを制して、その先に生まれる択について両選手、解説者の全員がきちんと理解していて、その上で最善となる択を積みかせていった上で決着した試合だったというのがこの試合が最高たる所以です。生で配信は見れませんでしたが、動画で見て震えましたね。このレベルのプレイングを平気でできるプレイヤーが揃ってるのかと。最終的にはHaruさんの勝利で終わりましたが、どちらも一歩も退かぬ素晴らしい試合でした!