佐伯沙弥香についてについて

去る3/10、やがて君になる のスピンオフ作品 佐伯沙弥香について の最終巻、第3巻が発売されました。
私も日付が変わったタイミングで電子書籍版を購入し、無事読了しました。
今回は佐伯沙弥香についての感想を書きます。ネタバレ込です。

そもそも本編の佐伯沙弥香がすきなんですよ。強キャラが好きなので。
容姿端麗、成績優秀、そして自分というものがしっかりと確立されている。魅力的という文字の擬人化みたいなキャラクターになってましたね。あと寝る前はメガネなのもよいと思います。
燈子が好きである描写があった時点で佐伯沙弥香が幸せになれないことを察してしまい、かなりしんどい思いをしました。強キャラは最終的に幸せになれる展開が少なすぎる。燈子への告白シーンと、燈子から「選ばない」と言われてもなお「好きよ」というシーン、とてもいいシーンなんだけど胸が潰される思いでした。

さて、そんな佐伯沙弥香が主人公のスピンオフですが、どういうお話かというと
佐伯沙弥香が幸せになるまでのお話です。
よかった、本当によかった。1巻を読んで打ちのめされた人、佐伯沙弥香はちゃんと幸せになります!安心して読み進めてもらって大丈夫ですよ!

1巻の内容は、本編でも触れられていた中学時代に付き合った先輩の話と、それよりも前、小学生のころに好意を寄せられた女の子についての話。
負けず嫌いなところや、好きになった相手に対してかなり尽くすタイプだったりすることが描かれていて、まさに佐伯沙弥香についてってタイトルにふさわしい内容ではあるんですけれど、如何せんしんどすぎる。なぜならこれから起こることを知ってしまっているから。心情の変化を描かないでくれ。これ以上ダメージを増やさないでほしい。最後に出会う燈子が救いに見えるけど、それもフェイクだって知ってるんですよこっちは!!!

次ぐ2巻。燈子との馴れ初めや、生徒会劇の復活に向けての動き、燈子に対する自分のスタンスを固めるといった内容。
佐伯沙弥香が燈子を呼び捨てで呼べるようになる描写がすごい好きなんですよ。あとは中学での出来事がどれだけ影を落としていたか、そしてそれを払拭できるほど燈子の存在が大きかったのかっていうところが丁寧に描かれているのが、キャラクターのスピンオフ作品としてすばらしいと思います。
そして最後には大学生になった佐伯沙弥香と、本編でも言及されていた陽ちゃんが登場して終わる。やっと希望が見え始めましたね!

最終巻の3巻。佐伯沙弥香と陽ちゃんの馴れ初めと、侑や燈子との接し方の変化を描いています。
小学生のころは交わろうとしてきた子を拒絶し、中学生のころは交わろうとしてきた人間に寄り添おうとして痛い目にあい、高校生のころは一定の距離を保ち続けようとした結果縮まることのなかった。そんな人間関係を積み重ねてきた佐伯沙弥香が、ただまっすぐ『佐伯沙弥香』であり続けながら寄り添っていけるような陽ちゃんという彼女を手に入れたというのがいいですよね。
二日酔いになったみたり、髪を切ってみたり。いろいろな一面が見れたのが。そしてかつてとは距離が離れてしまって、この先はもっと疎になってしまうかもしれないとは言及されつつも、それでもまた燈子との関係と向き合うっていうのが描かれたのが最高でした。じゃんけんのシーンすき。

以上、感想でした。電子書籍で購入したので最初漫画だと勘違いしてましたが、振り返ってみれば小説だからよかったっていうのも大きく感じますし、なんなら本編よりもお気に入りだったり。おすすめです。