1917が面白かったはなし

昨今のコロナの影響で公開延期になっている作品が結構あるのが残念でならない。
実はソニックの映画結構楽しみにしてます。

先日ようやく『1917 命をかけた伝令』を鑑賞してきましたので、その感想です。アカデミー賞3部門を受賞しているだけあり、大変おもしろかったです。
極力ネタバレは含まないよう書くつもりですし、ネタバレによって今作の魅力が削がれるかというとあまりそうは感じないですけど、過敏な方はご注意ください。

まず第一になんですけど、これは間違いなく映画館でみるべき映画です。レンタル解禁されたら見ようと思っているのは間違いだと思います。
可能なら少し首が痛くなるのも覚悟で前方の席取るとよいかも。視界全体がスクリーンの状態で見れるとこの作品の良さをより感じられるんじゃないかなって。


大雑把にあらすじを説明すると、主人公達は第一次大戦中の英軍に所属していて、独軍との戦線にいる。ある時、主人公達に命令がくだされる。それは最前線部隊への攻撃中止命令だった。このまま攻撃が実行されてしまうと1600人の命が失われてしまうかもしれない。多くの命を守るため、命をかけた伝令が走る。といった具合。

この作品を語る上でかかせないのが全編1カットで描かれているということ。といっても、一度完全に暗転する部分があるので実質2カットなんですけど。
実際には長尺のカットを1カットに見えるようにつないでいるそう。予めこの情報を知っている状態で見ていれば「あ、ここつなぎかな?」っていうのに気づけるけれども、意識していないとホントにわからない。多分私が見逃している箇所もあると思う。それぐらい自然で、見事だった。そりゃアカデミー賞も取るわな。
そしてこの1カット映像というのが、映画の題材と非常にマッチしていると思う。戦場の、退却したという情報があるとはいえ前線をくぐり抜けていくということで、主人公に心休まる瞬間なんてない。いつなにが起こるか、常に緊張した状態で進まなければいけない。そういった状況を追体験できる内容になっていると感じた。フェードアウトや唐突な視点の切り替わりがないので、主人公の視点で、というよりは主人公に随伴しているような気持ちになれる。

あと私の好きなところが、視界の広さの移り変わり。作中では壕の中を進むシーンと、何もない平野のシーンの切り替わりというものが何度かあった。冒頭の自軍の壕から前線に向かうシーンもそうだし、独軍が退いたあとの壕を進み、草原に出るシーンもそう。壕の中を歩くシーンは、とっても視界が悪いので、いつなにが起こるか、何が出てくるかがわからない、謂わば『見えないことによる恐怖』が描かれている。一方、何もない平野に於いてはすぐそこに驚異は迫ってはいないものの、身を守るもの、身を隠すものが存在しない。いつ敵から狙撃されるかわからない。そういう『見えすぎていることによる恐怖』が描かれている。
これのなにがいいって、映像作品として画面に大きな変化があるのに、緊迫感がゆるまらないってところだと思う。ずっと同じような映像を見せられているとどうしても飽きが来てしまうし、かといって緊張の緩和が何度も挟まれてしまっては今作の魅力が薄れてしまう。本当に見せ方がうまいと思う。

あとはやっぱり、お金かかってそうだなーっていうのが正直な感想。派手に見せるところはとことん派手に、人もいっぱい使って、ここが見どころだぞ!っていうのがちゃんと主張されているのはやっぱり見ていて心地がいいよね。何度かあった、死体の上を進んでいくシーンなんかも思わず目を背けたくなるような数の死体が無造作に転がっていたりして、陥っている状況の異常さ・非日常感を表現するのに大変貢献していたと思う。リアルな死体とかわかんないけど。

映像としての魅力についてばかり語っているけれど、別に物語性が皆無とかそういうわけではない。ネタバレになるので多くは語らないけれど、主人公の任務に対する姿勢や家族に対する思いっていうところに重点を置いて見ると楽しめると思います。

以上、1917を鑑賞した感想でした。
本当にいい映画だったので今すぐ観に行って。もうすぐ公開終わりそうだから。
今週末は都内の映画館閉まるみたいだけど。