新型コロナの影響で致命傷を負うのはイベント業界ではなく印刷業界なのではないかという話

表題の通りです。
ちょっとだけマジメな話ですけど、裏付けとなるデータのひとつもないような世迷い言なので、あまり構えずに呼んでほしいのきもち。

昨今の行動自粛要請や、ナイトクラブにてクラスターが発生したという報道があって以来、多くのクラブ等が営業自粛を余儀なくされている。それにより、開催予定だったイベントの多くが延期および中止となっている。個人的に関係のあるところだとTha Playahの来日は延期され、シャニマスのスプリングパーティは中止となった。GW開催のシャニ2ndの開催も難しいだろうなと思っている。
外出自粛の要請が正式に告知されたのが3/28の週だったと記憶している。それから今この記事を書いているのが4/3。およそ一週間が経とうとしているが、いくつかのクラブが経営維持のため、今後数ヶ月の使用料を前払いで予約した利用者に対して特典をつけるなど、自衛策に乗り出している。どうにかしてこの自粛期間を逃げ切らなくてはいけない。東京都が営業自粛しているクラブ等に助成金を出すという情報を目にした。そういった援助はぜひどんどん行っていってほしいと思う。

さて、ではこのコロナ自粛によってクラブ文化が滅ぶのか。私はノーだと思う。むしろこの自粛期間を乗り越えた段階で今までの抑圧に反発するように一瞬すごくシーンが盛り上がるのではと考えている。というのも、音楽を楽しむという行為や、異性との出会いを求めるという行為については自粛中に発散する術がないからだ。もちろんDJ配信や出会い系アプリ等の逃げ先が全くないわけではないが、あくまで代替手段としての受け皿であり、自粛解除後も取って代わられることはほぼないと思う。
基本的にはほとんどの業界がこの流れをなぞるだろうと考える。旅行業界なんかも自粛解禁後はまとまった人の動きがありそうだし、人の動きさえあれば飲食業界も活気を取り戻すだろう。どの分野においてもそもそも自粛期間を耐えられるほど企業の体力がなかったりしない限りは、コロナ蔓延前の状態まで回復すると思う。

ただし、この自粛期間において提供しているもの自体の価値が落ちたり、利権を奪い合う業種が台頭してきた場合は話が別である。その対象というのが、今回表題に掲げた印刷業界、もっとしぼって言えば、雑誌の印刷を主に担う企業だと考える。
電子書籍の普及に伴って紙媒体の本の売上、ひいては書店自体が低迷するのではないかという話は太古の昔から言われ続けていることではある。さてでは現実はどうなのかというと、2018年の出版市場規模に対する電子書籍の割合は16.1%である。2017年の13.9%から上昇はしているものの、未だ主流は紙媒体だと言える。参考
ではなぜ、このタイミングで電子書籍が優位に立つと考えるのか。それは今回の自粛により、電子書籍に触れる機会が増えるからだ。
週末の外出自粛要請を受け、せめて楽しく自宅で過ごせるよう、各出版社が自社の出版物を無料でネット上で公開し始めた。ワンピースの無料公開が話題になっていたのは記憶に新しい。無料で読めるなら、と今まで特に理由なく電子書籍に触れてこなかった層が電子書籍に触れ始める。これをきっかけに、電子書籍の利便性に気づき、紙媒体が主だったユーザーが電子書籍側に流れていくのではないかと考える。ただ、漫画に関しては既に紙の単行本を購入しているユーザーが途中から電子書籍に乗り換えるかというとそこにはそれなりに高い障壁があるように思う。また、ドランゴンボールがいい例だが、漫画の単行本の背表紙を並べることによりひとつの画が完成するといったギミックを仕込んでいることもあり、漫画分野においては紙書籍が完全にとって食われる可能性は低いのではないかと考える。
電子書籍に触れる機会の増加は上記の刊行物無料公開に限った話ではなく、今後さらにコロナウィルスが蔓延することで発生しうる外出制限によっても引き起こされる。簡単に言えば、「紙媒体を購入できないから電子書籍にしよう」という流れがあるのではないかという話だ。漫画の単行本については上記の通りの障壁があること、早く読みたいという気持ちを除けばリアルタイム性が必要ないことより、影響は薄いと考える。ここで槍玉にあがるのが雑誌類ではないだろうか。
ファッション誌等のその時勢を大きく反映したような刊行物については、購入にリアルタイム性が求められる。そのため、外出制限により紙媒体を購入できない場合は電子書籍で、という消費者が多く現れるのではないだろうか。また、漫画等と比べ、過去の刊行物についての価値は情報の鮮度が悪くなるため、その媒体を保存しておくメリットが少ない。そういった面から、以前紙媒体で購入していたものがあったとしても、電子書籍への移行への障壁は少ないのではないだろうか。古い情報を処分したい場合、その利便性に於いて電子書籍のほうが勝る面も特筆すべき点だろう。

上記のように、今まで理由なく触れてこなかったユーザーが電子書籍に触れることでその利便性に気づいた場合、ユーザーの移動は一時的なものではなく恒久的なものになるのではないかというのが私が印刷業界が致命傷を負うのではないかと考える理由である。印刷業界と一口に言っても、一般的な書籍や学術書、教科書等を主に担う企業は大きな影響を受けないことが予想されるし、大本の出版社自体は電子書籍にシフトすればいいだけの話なのでおそらく問題なく生き残れるだろう。記事中盤でも述べたとおり、雑誌類の印刷を担っている業社が軒並みいなくなるかもしれない。
ではこれを避けるためにはどうすればよいか。一重に紙であることの優位性を認識し、それをユーザーに周知させることでしかない。今回のコロナの件に限らず、なにかをきっかけに電子書籍に触れ、その優位性を紙主体のユーザが知るということは今後何度でも起こりうる。その度にユーザーを引き止められる『紙の魅力』を確立していかないと、衰退は必至だろう。